七瀬クンとの恋愛事情
ルックスもそこそこで、30代後半になる割には若い顔立ちだから、実はモテるんじゃないかと思うんだけど
しかし、誰かとお付き合いしてるなんて話をあまり聞いた事がない


一方七瀬くんは、
入社当初からまずその186㎝の長身と容姿で注目を浴び、仕事の覚えも早い。アシスタント時期から顧客の信頼をつける程で少しだけ周りからの反感もあったが、実は持ち前の勉強家と言ったところか。

注目されるだけにいろんな噂も絶えないが、そのあどけなさで気が付けば老若男女にモテてるタイプだ



「すみません、高科課長の恋愛にとやかく言える立場ではないんですが、上司としての課長は俺尊敬してますよ」


そう言って座っていても私たちより高い位置から形だけの会釈をした


だからあなた、全然態度が謝ってないからそれ


一瞬頬をひきつがせた高科課長は、私の顔を伺い見て溜め息をついたあと渋々その場をゆっくり離れていった


「?」

「懲りないねぇ、あの人も………」


ククッと課長を遠目に見ながら笑う


その後は盛り上がっている営業部の面々に引っ張られそっちに腰を下ろした課長


「君は課長に対してもう少し対応良くできないの?」

営業と企画は何かと衝突することもあるけど、一体なんでそんなに課長を敵視するのかわからない


新しいグラスを手に、少し遠くにあるビールビンを取るために身体をテーブルの上へ乗り出して腕を伸ばした

身体いっぱいに伸ばしたその目の前から、簡単に手をのばした節のある長い指が、目指したビールビンを持ち上げた


「どうぞ、松原主任」

スマートに私のグラスへ注いでくれる


「…………どうも」




私は彼とふたりっきりになるとなぜか落ち着かない


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