七瀬クンとの恋愛事情
「それに関しては弁解するつもりもないけど、さすがに立替えてくれたお金は返すから」
もう勝手に何言われたっていいや別に
失恋したって事にしておこう
そうすればそれ以上詮索される事もない
「ま、外資系なんて高望みしないでもっと周りをみてみれば?松原案外モテるから」
どの口からそんな根拠のない事を
「しかし…いい物見せて貰ったよ、眠り姫の争奪戦」
「は?」
ひと言意味の解らないワードを呟き、含み笑いに肩を揺らしながら脇谷くんは自分の席に戻っていった
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「……………」
2時間ほどの残業の後、
他に残っていた残業組もほぼ帰り仕度を済ませてエレベーターへ向かう途中
私の帰り仕度に合わせて、部署にいるもう1人
「お疲れ様です」
アレから仕事中は一切目も合わせず、
仕事の報告のためデスクに来ても、彼は顔色ひとつ変えず日中を終え、
1時間の残業の末帰って行ったのを、私は横目で見送ってホッとしていたのに
「さっき、帰ったんじゃなかったの?七瀬くん」
「終わるの待ってたに決まってるじゃないですか、倫子さん」
う………『倫子さん』モードになってる
「平日は、またストーカーの待ち伏せが気になりますから、マンションまで送ります」
「…………」