七瀬クンとの恋愛事情

確かに、それは気になっていたが、襲うって部類では誰かさんも同じだ

ジィッと眉をひそめて見上げる私に、小さく息をついた七瀬くん

「もう、本当に何にもしません。家に送ったら鍵かけてチェーンしてくれたら、俺はすぐ自宅に帰りますから」

「送ってくれるだけ?」

そんな事で彼になんのメリットがあるんだ?


「なんなら買い物にだって付き合いますよ。
ついでに手料理なんてご馳走になったりして、あわよくばそのまま泊まらせてくれたらいいんですけどね」


「買い物には寄らないし、泊まらせないっ」


「それでも、帰り道のついでなんで、勝手についていきますよ」

それもある意味ストーカーだろっ


「それって、七瀬くんに何のメリットがあるの?」

そう言ってみたものの、結局こうして強引に丸め込まれている気がする



しかし、2人で並んで歩くのは誤解される場合もあるため、社内では5歩ほど彼の後ろを歩く

「あ、お疲れ様です」

残業組からすれ違いで声がかかっても、七瀬くんとは偶然一緒なのだと見せながら、少し離れてさり気なくその長い脚の歩幅についていく


「そんなに気にする事ですか?別に、社内恋愛禁止って訳でもないのに」


「……………は?」


駅までの道のり、歩幅の差を時々埋めるように立ち止まっている七瀬くんが、全く妙な事を

社内恋愛禁止じゃないからって、なぜ君と堂々と歩けるって言うの………?


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