七瀬クンとの恋愛事情
大体、自分がどれだけ注目されているか分かっていないのか?
「意味がわからない、やっぱり罰ゲームか何かでしょう。私を送る事で七瀬くんに何のメリットがあるの?」
「さっきからそれ、真面目に言ってます?ったく、浮かれてたのは俺だけってわけだ」
「?」
一歩前から頭だけこちらに向けて話していた七瀬くんがピタリと足を止めた
「じゃあ手とか繋いでみます?」
「へっ?!」
そう言って片手を伸ばしてきた
「おかしいでしょうそんなの、どう考えたって、大体七瀬くんの彼女が………」
「彼女って?」
「だから、連休中に出来たって古坂さんに…」
駅に着いて、
流れるように電車に乗り込むと、一駅だけの間、ドアの前で2人並んで立った
「ああ、だから彼女」
目の前で七瀬くんの長い人差指の先が私の方をむいた
「へっ…………はぁっ?!」
思わず電車内で声を上げ、慌てて口を押さえた
ちょっと待って?
この人が何言ってるのか、今理解しないと……
「キスしたじゃん、それに一緒に寝たし」
「!!!」
話しながら少し身体を屈めてきたその口を、
思わず両手いっぱい伸ばして押さえ込んだ