海に降る雨
 車を再び海沿いに走らせる。



 海近くの駐車場へと辿り着いた。

 停まってる車はやはり少ない。

 海岸の砂浜へ続く階段を下りていく。

 砂浜にも人はまばらだった。


「さすがにまだ海に来るには早い時期だったみたいだな」

「曇り空だから少し肌寒いね」

「薄着だと風邪引くから、気をつけないとな」

「そうだね」


 並んで砂浜へと立つ。

 目の前に広がる海。

 ポツンと頬に水滴が当たった。


「雨?」

「そうだな。傘がないから、車まで走るぞ!」


 不意に摑まれた手。

 手を引かれて、そのまま車へと走った。

 車内に入ってすぐに大粒の雨が降ってきた。


「天気予報、外れたな」

「うん」


 鞄に入っていたタオルで髪の毛の雨をぬぐった。
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