ヒミツにふれて、ふれさせて。
じゃあね、と、大きな…でも綺麗な白い手のひらをひらひらさせながら、背中を向けた美濃 珠理。
…やっぱり、すごく綺麗な人だな。
そう思って、思わずその姿にじっと見入ってしまった時に、シビレを切らしたように、わたしのスマホは震えだした。
「…うあ!」
…リョウちゃんからだ。
最悪、もう家の前まで着いてるのに。わたしが遅いから怒ってる電話だ。これは。
「…もしもし」
『オイ、めご?今どこにいんだよ、お前』
うわー。最悪だ。めっちゃ怒ってる時の声だ。しかも、アイス買い忘れてしまった…。
どうしよう。
「…ご、ごめん、もう家の前にいるからっ」
『は?!だったら早く入れよっ』
「うん、ごめんなさい…」
リョウちゃんのイライラしている声はいつものことだけど、今日はいちだんと怖かった。
大きな声で、わたしの耳元で叫んで。だから、スマホからも声がダダ漏れだ。
だから、美濃 珠理も思わずまた振り返って、わたしの方まで来ているわけで。
…あぁもう、余計なところを見せてしまった。
最悪だ。