ヒミツにふれて、ふれさせて。


・・・


想像通りだった。だから、身体も少し緊張していたし、覚悟はできていたんだと思う。

…だから、そんなに痛くない。


「買うの忘れたってどーいうことだよ」


怒っているリョウちゃんの気持ちも分かる。頼んでいたものを買い忘れてしまったのだから、イライラしてしまうのは当然のこと。


「…ごめんなさい。リョウちゃんが言ってたアイス、売り切れてて…」

「じゃあ代わりの買ってくるか連絡するか、すればいーだろうが」

「…はい」


いつまでも手を添えていたら、またそれにもきっとイラついてしまうと思って、静かに左手を降ろした。


…リョウちゃんが、わたしをたたくようになったのは、高校に入ってからだ。

中学2年の春から付き合ってきた。同じ中学出身で、ごく自然に仲良くなって、お互いを少しずつ好きになって、告白されて、付き合った。

本当は、すごくやさしい人なんだ。わたしも、大事にされてきた、ずっと。

…でも、高校に入学した春から、リョウちゃんは変わってしまった。

理由はハッキリ言われたことなんてなかったけど、きっと、リョウちゃんが行きたかった高校に落ちて、わたしだけが、受かったから。

受験期は一緒に勉強して「高校でも一緒にいようね」て話をして、お互いを高めあっていた…気がした。でも、リョウちゃんは落ちて、わたしと高校は離れて。

…今は、ずっと何かにイライラして、高校生活をお互いにおくっている。



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