ヒミツにふれて、ふれさせて。
しかも、あのオジサンと自然に親しげに話していたし。しまいには、“しゅーくん” なんて呼ばれていたし。
…どーいうこと。でも、前にわたしがハニーブロッサムについて話した時は、何も言ってなかったよね?
「…なに、珠理は、あのケーキ屋の息子ってこと?」
ていうか、あのオジサンの子どもってこと?!
「えっ?!そーなの?!」
「いや、わかんない。考えが飛躍してるだけかもしれない」
でも、あのケーキ屋の息子だったとしたら、わたしがハニーブロッサムのことを話したら、普通自分から言わない?
黙っておく必要ある?経営に何か影響してしまうから黙ってたとか?
でも、昨日会った時は驚いてはいたけど、そのまま連れられて焦っている感じはなかった。
…なーんか、引っかかるんだよなあ。
「それ、ミノくんに聞いてないの?なんであそこにいたのー?って」
「いや、聞いてないよ…。昨日は珠理と色々あってそれどころじゃなかったし…」
「えっ?ミノくんと何かあったのっ?!」
…げ。墓穴を掘ってしまった。言わなくていいことを言ってしまった気がする、今。
「…や、なんでもない、今の聞き流して」
「ええ?!なになになに、そこで止めるのは卑怯でしょう!聴かなかったフリなんてできません〜〜」
瀬名の顔が、急に明るくなった。今の今まで親友の別れ話聞いていた人の顔じゃないよね、完全に。
絶対なにか期待してるよね。