ヒミツにふれて、ふれさせて。
瀬名があまりにも話せ話せとうるさいもんだから、もう誤魔化せないと思って、昨日のことを話した。
別に、やましいことなんて、わたしはないと思ってるし。きっと珠理だって、友達同士のスキンシップだと思ってやっていたんだと思うし…。
「ミノくんが…っ、ハグ…?!」
「やめてくんない、その言い方。生々しいから」
ハグなんて、外国人なんてしょっちゅうしてるしね、うん。海外ドラマなんか、抱き合ってばっかだし。挨拶だし、あんなの。
だから別に、わたしと珠理が抱き合うのもそういうアレで通せる気がするし、うん。
「…めご、あんたミノくんに狙われてるんじゃないの…なにそれ贅沢すぎだよ…」
「はー?やめてよ、そんなんじゃないから。それに贅沢もなにも、アイツはオネェだよ、ないない」
——現に、アイツも忘れられない人がいるっていうの、知ってるし。元カノさん情報だけどね。
あ、ていうか茶々ちゃんにバレてしまったら半殺しにされそう。瀬名にも他言しないようクギを刺しておかなきゃ。
「…でも、おふざけなしで、ミノくんってすごくやさしいよね?めごのこと、ものすごく考えてくれてるしさ」
ちらほらと、クラスメートがやってきたのを気にしながら、瀬名はコッソリと言った。
その言葉には、なんの反論もできない。だって珠理は、毎回毎回、本当にわたしのことをよく見ていてくれるから。
…やさしいのは、悔しいけど認める。
「…ミノくんのこと見てて、このままめごのこと幸せにしてくれないかなーって、少しだけ思ってたりするんだよね、えへへ」
「…やめてよ…。珠理とは、そんなんじゃないから…」
やさしいのは、認めるよ。だってもう、何度も何度も助けられてきた。「大丈夫」って、何回も言ってくれた。ピンチの時は、走ってきてくれた。涙を拭ってくれた。
そんな姿を見て、何とも思わないわけがないよ。あいつには、感謝の気持ちでいっぱいだ。
ただ…
「ただ、わたしはあのオネェがなんでハニーブロッサムにいるのかが気になって仕方がないわ」
「あはは!そこにもどる!」
だってそうでしょう。なんで、あいつはあんなところにいたの。