ヒミツにふれて、ふれさせて。


「めご、それってミノくんとデートできるってことじゃん…!」


コソッと、耳元から、興奮した声が聞こえてくる。
ていうか、だからデートしようって言われたって言ってんじゃん、ほんとに人の話聞いてんのかな、この子。


そこからは、明日はどんなプランで行くのかとか、服は決まってんのかとか、天気はどうなってんのかとか、色々と質問ぜめをされる。

どこのお節介ですかという感じだったけれど、服に関してはわたしも悩んでいたからちょうどよかったよ。


「…やっぱ、少しくらいオシャレしていったほうがいいのかな…」

「当たり前でしょー!?相手はあのミノくんだよ!?」

「だよねぇ…」


珠理は、なんでも似合う。あんなにカッコよくて美青年で、身長も高くてスタイルもよければ、そりゃあどんな服でも着こなせると思う。

休みの日に会ったことはあんまりないけれど、制服だってカッコよく着こなすオネェだ。私服になったらどうなることか。

一方、わたしは見た目も派手じゃないし、目立つわけでもないから、服くらいはそれなりにオシャレしないと。


…珠理に、釣り合わない気がする。



「…なんか、どの服を着ても、自分に自信が持てないっていうか、珠理がとなりにいることを考えると、色々と足りないなあって思うっていうか…」

「……」


リョウちゃんの時は、こんなに迷ったことがなかった。そりゃあ初めは、中学生なりに色々とオシャレを頑張ったこともあったけれど、そんな時期もお互い知っているわけだし。

長い間一緒にいたから、馴染んできたというか、回数を重ねすぎて平気になってきたというか。

高校に入ってからは制服も多かったから、なおさら。


…でも、やっぱり相手が珠理となると、いろいろと考えてしまう。



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