ヒミツにふれて、ふれさせて。
「めごの言ってたパンケーキ屋さんって、コッチで合ってる?」
珠理と、うちを出発して、目的のパンケーキ屋さんを目指して歩く。
「うん、確かこっちに歩いて、由比ヶ浜沿いの道を行って、小道に入ったところだったと思う…」
スマホのナビを頼りに、静かな道を二人で通りながら、お店を目指した。
この辺りには、入ってみたいと思うような、小さな隠れ家のようなカフェやお店がたくさんある。
鎌倉駅のように、分かりやすく並んでいるわけじゃないけれど、隠れたところにあるからこそ、発掘したという喜びにも浸ることが出来る気がする。
…そして、今日もそれはきっと、あたりだと思う。きっと、ステキなお店だと思う。
しばらく歩いて、由比ヶ浜の方に出る。今日は晴れていたから、海に太陽の光が反射して、キラキラと泳ぐように光っていた。
「こんな季節なのに、まだサーフィンしてる人いるね」
「ほんとね〜〜。風邪ひいちゃうわよ、アタシ絶対できないわ」
「あんたはこの間まで散々熱出してたでしょうが」
何気ない話をしながら、10分ほど歩くと、目的地まで着いた。
本当に、小道を入ったところにある、隠れ家のような小さなカフェだった。
「か、かわいい…!」
木材で出来たドア。白い縁取り。緑色の屋根。並べてあるベンチ。立てかけてある看板。
使われているどれもが可愛らしくて、思わず声を出してしまった。
うん。決定。ここのお店、絶対いいところ。あたりだと思う!
珠理も隣でキラキラと目を輝かせていた。
可愛すぎる風景を数枚写真に収めて、ドキドキしながら中に入る。
中は、広くはなかったけれど、オシャレなテーブルがいくつか並んでいて、まだ開店したばかりなのに、お客さんも結構入っていた。
席に案内されて、椅子に座る。「可愛いわねぇ〜!」とはしゃいでいる珠理は、もうすでに目立っていて、店員さんや周りのお客さんの注目のマト。
そりゃそうですよね、こんな美青年がパンケーキ食べに来てこんなキラキラした目をしているんだもん、注目しないはずがないですよね。わかります。