ヒミツにふれて、ふれさせて。


メニューを渡されて、注文した。わたしは、抹茶と黒蜜のパンケーキ。バニラアイス添え。
珠理は、バナナとシナモンのパンケーキ。こちらもバニラアイス添え。

飲み物は、わたしは紅茶にして、お砂糖とミルク両方をお願いしたのに、珠理はコーヒーを頼んで、どっちも要らないって言っていた。

ブラックコーヒーってやつかな…。すごいなあ。ものすごい甘党かと思ってたのに。



「すっごく可愛いお店ねぇ。しかも、のんびり出来て、落ち着くわ」


珠理は、にっこりと笑いながら周りを見渡していた。
…喜んでもらえて、よかった。とりあえずお店は可愛くて、予想通り。あとはパンケーキを待つのみだな。

ブラックコーヒーに口をつける珠理を見る。睫毛が長い。いつものことだけど。目も綺麗なパッチリ二重だし、唇も女子も羨む綺麗な形と色だし、色も白いし、なんかもう、色々とずるいよなあ。

わたしは、頑張ってメイクして顔を作り上げても、この人には勝てないよ。


「めご」


熱々の湯気が立っている紅茶に、お砂糖とミルクを入れて唇に付けたら、珠理に名前を呼ばれた。

なんだと思って目元だけ珠理の方を向けて見開くと、珠理は頬杖をついたまま、片方の手をわたしのベレー帽に乗っけた。

なんだろうと思って少しびっくりしたけれど、珠理は目を細めて、その手を左右に動かす。


「今日、来てくれてありがとう」


…その、言葉を添えて。



< 179 / 400 >

この作品をシェア

pagetop