ヒミツにふれて、ふれさせて。
メニューを渡されて、注文した。わたしは、抹茶と黒蜜のパンケーキ。バニラアイス添え。
珠理は、バナナとシナモンのパンケーキ。こちらもバニラアイス添え。
飲み物は、わたしは紅茶にして、お砂糖とミルク両方をお願いしたのに、珠理はコーヒーを頼んで、どっちも要らないって言っていた。
ブラックコーヒーってやつかな…。すごいなあ。ものすごい甘党かと思ってたのに。
「すっごく可愛いお店ねぇ。しかも、のんびり出来て、落ち着くわ」
珠理は、にっこりと笑いながら周りを見渡していた。
…喜んでもらえて、よかった。とりあえずお店は可愛くて、予想通り。あとはパンケーキを待つのみだな。
ブラックコーヒーに口をつける珠理を見る。睫毛が長い。いつものことだけど。目も綺麗なパッチリ二重だし、唇も女子も羨む綺麗な形と色だし、色も白いし、なんかもう、色々とずるいよなあ。
わたしは、頑張ってメイクして顔を作り上げても、この人には勝てないよ。
「めご」
熱々の湯気が立っている紅茶に、お砂糖とミルクを入れて唇に付けたら、珠理に名前を呼ばれた。
なんだと思って目元だけ珠理の方を向けて見開くと、珠理は頬杖をついたまま、片方の手をわたしのベレー帽に乗っけた。
なんだろうと思って少しびっくりしたけれど、珠理は目を細めて、その手を左右に動かす。
「今日、来てくれてありがとう」
…その、言葉を添えて。