ヒミツにふれて、ふれさせて。
「…うん」
わたしと一緒にいるのが、いちばん楽しいって。そんなこと、お世辞でも言われると嬉しいものなんだな。
「めごは、アタシと一緒にいるの、ちゃんと楽しい?」
わたしの身体の力が抜けたのを確認すると、珠理の手も、パンケーキの元へ帰っていった。その代わり、そんな質問をされて。
「…うん。たのしーよ」
…そう、返す。
すると珠理はにっこりと笑って、嬉しそうにしていた。
「そーこなくっちゃね。じゃないと、アンタを楽しめたくて遊びに誘ったのに、意味がなくなっちゃうわ」
「…うん」
珠理と一緒にいるのは、楽しいよ。最初から、なんだかんだ、楽しかった。
その代わり、この間みたいに心臓が動きすぎてしんじゃうんじゃないかってくらい、緊張することもあるけど。
…それでも、心地いいのは、変わらない。
「…珠理って不思議だね」
「ん?なんで?」
「…だって、会ったのはついこの間の、夏のことなのに。たまたま、コンビニで動けなくなっていたわたしを助けてくれただけなのに。なのに…」
…なのに。
「ここまで、色々と話を聞いてくれたり、遊びに誘ってくれたり、やさしくしてくれたり。小さなキッカケだったのに、ここまで一緒にいるようになるなんて、思わなかったっていうか」
…こんなわたしと、仲良くしてくれている。それが考えれば考えるほど、不思議で。
珠理くらいの人間だったら、いくらでもわたしみたいな人に出会うキッカケなんてあるんだろうに。
「…どうして、わたしだったんだろうって、たまに思うんだ」
仲良くしてくれたのが、どうしてわたしだったんだろうって。
…なんて、ちょっと自惚れてるかな。自慢話に聞こえちゃうかな。
でも、それでも、いいや。