ヒミツにふれて、ふれさせて。
周りを見渡すと、結構おしゃれなものが並んでいる。
お年玉はあまり使わない方だから、お小遣いだけは結構溜まってるし、別になんでも買えそう。でもだからって、珠理が使うものはどんなものなのかよく分からないし…。
だからって選んでもらうのもなー。このオネェのことだから絶対遠慮するし、買わなくてもいいとか言ってきそう。お礼は要らないわとか言ってきそう。
うーん、と考えながら、お店を見て回っている珠理を眺める。
…コップは、手頃だしハズレないけど、ありきたりだしなあ。大きなクッションとかは、荷物になるし。アクセとかは、個人の好みがあるし…。
靴とか服はサイズも分かんないし、第一センスないし。冬もくるし手袋もいいけど、つけない人はつけないしなあ。
「…」
スラリとした後ろ姿を眺める。何を見てるのか知らないけど、下を向いた巨体から見える首元が寒そうに見えてきた。
現に、さっきお店を出てきてからも数回クシャミしていたところを見てしまったし、やっぱり温かくなれるやつが良さそうな気がする。
…この間も、風邪ひいてたしね。
「…よし」
手を伸ばしたところに、いくつかマフラーがあった。メンズものもある。
マフラーなら、奇抜のでなければわりと合わせやすいし、わたしでも選べそうな気がする。
珠理は髪が綺麗な茶色だから、黒っぽいのが似合いそう。白系でもいいけど、上着によっては合わせづらいのもあるしね。
やっぱり無難に黒だ、うん。
珠理が、離れたところで商品を見て回っている隙に、わたしは珠理に似合いそうなマフラーをひとつ取って、そのままレジに持って行った。
…あとで、渡そう。すぐに使った方がいいし、ラッピングはいいや。
時間かけてたら、バレちゃうしね。