ヒミツにふれて、ふれさせて。
長谷寺に着いたら渡そうと、買ったマフラーはバレないように、背負っていたリュックに詰め込んだ。
そして、何事もなかったように、珠理の背中を目指して向かう。
「珠理」
「ん?」
「!」
背中から回って珠理の方を覗くと、思ったよりも距離が近いということに気づいて慌てて離れた。
珠理には首を傾げられたけど、恥ずかしくて思わず下を向いてしまう。
すると、珠理の手の中には、可愛らしいブレスレットが握られてあった。
「…! かわいい…!」
思わず、飛びつく。
ブレスレットの周りは白とピンクのまるい石のようなもので出来ていて、その中心には、何やら半透明の綺麗なピンク色のものがぶら下がっている。
なんだこれ、きれい。初めて見た。
「可愛いわよねぇ。桜貝なんだって。鎌倉の浜辺で採れたものを使ってるって。めご、知ってた?」
「ううん、知らなかった…!」
桜貝かあ。こんなにきれいな色をしているんだなあ。かわいい。
見渡すと、ブレスレットだけじゃなくて、ネックレスとかピアスとかもたくさんあった。
でもだからって、桜貝のネックレスは大きすぎてわたしには合わなかったし、ピアスは開けてないし。
イヤリングにも交換はできるみたいだけど、ちょっと大人っぽいもんね。
少しだけ欲しくなってきて、買うとしたらどれにしようと考えていたら、となりにいた珠理から、不意に手首を掴まれた。
「えっ。なに?」
「……」
わたしの方を、まじまじと見る珠理。
なに…、何を見られているの、これは…。