ヒミツにふれて、ふれさせて。
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キラキラと、太陽の光に反射する桜貝を見ながら歩いていると、あっという間に長谷寺に着いた。
休日で晴れの日ということもあって、周りは観光客でいっぱい。
「うわあ〜、人がたくさんだね」
「ほんとねぇ」
——長谷寺。
鎌倉には多くの観光地があるけど、長谷駅周辺のなかではかなり人気スポットだと思う。一番の観光地は大仏だけどね。
特に初夏は、長谷寺一面に紫陽花が咲くから、それを見に来る観光客で大賑わいしてる。その時期には絶対行きたくないと思ってるけど、毎年全国ニュースになるくらいには、有名なとこ。
秋は紅葉シーズンだから、それを見にくる人も多い。
わたしたちが長谷寺に着いた頃には、もう夕方近くになっていたから、夕方の紅葉を見ようと人が集まっていたらしい。
「ねぇねぇ珠理、あれ探したい。お地蔵さん」
「りょ〜かい。じゃあ向こうから回りましょう」
長谷寺が人気なのは、風情があるからってことは確かだけど、「なごみ地蔵」と呼ばれるお地蔵さんを三箇所全て発見できると、いいことがあるって言われているから。
初夏に紫陽花が咲く道のどこかに隠れているみたいだけれど、わたしももう場所を忘れてしまっていた。
「どこだったかな〜。見つけられなかったらちょっと悔しい」
「そうね〜。地元民としてそれは許せないわ」
変に燃える2人。でも、なんとしてでもなごみ地蔵を三箇所全て見つけなければ。