ヒミツにふれて、ふれさせて。
「あっ!あった!一箇所目!」
珠理と歩きながら、ひとつひとつ、見つけていく。3人のお地蔵さんが並んだそれは、本当に可愛らしくて心が和む。
だからなごみ地蔵って呼ばれているんだろうけどね。
「可愛いわねぇ〜。このお地蔵さん、小学校のまち探検以来かもしれないわ」
「あっ、やっぱり!?そうだよね、まち探検で行ったよね〜!」
「行く行く、地域見学みたいな感じでね」
ひとつひとつを見つけながら、2人で「あった!」と言って、喜んだ。
無事、三箇所とも全て見つけ終わって、本堂の方に出る。
その頃には、もう太陽が傾き始めていた。
みたらし団子が売っているお店の近くでは、海を見渡せる場所があって、そこには多くの人が集まっていた。
久しぶりに自分たちが住んでいる街を上から見下ろして、「高いね」と珠理と話す。
…周りの人たちからは、わたしたちが住んでいる街がこんな風に見えているんだ。
海も広がっていて、そこから見える夕日はとても綺麗で、自慢したくなる。この街はずっと昔から美しいんだって、教えてあげたくなってしまう。
こうやって、客観的に自分たちのことを見るって、たまには大切なのかもしれないね。
「…クシュっ」
しばらく柵に身体を預けて、海を見学していたら、となりの珠理がまたクシャミをした。
それを合図に、わたしはさっき買ったマフラーがまだリュックの中に眠っているのを思い出す。
は、早く温めないと。この人病み上がりだから、またぶり返しちゃう。
そう思って、珠理の上着の袖を引っ張った。
「ん…?どうしたの、めご」
「ちょ、ちょっとこっち…きて…」
「?」
…ここは、さすがに人が多すぎて恥ずかしいよ。もうすこし、広いところに行かないと。
全部、話を聞かれてしまう。