ヒミツにふれて、ふれさせて。
・
茶々ちゃんからの鋭い言葉もなんとか交わしつつ、なんだかんだ、ワイワイワイワイ、しばらくみんなで同じ鍋をつつきあった。
そして、お鍋の中身もある程度無くなった頃、近海くんから「めごちゃん、ちょっと」と、呼ばれた。
みんなが騒いでいる中、わたしはキッチンの方にいる近海くんの方へ向かう。
お鍋のシメの準備をしているようだったから、一緒に並んでそれを手伝うことにした。
「ごめんね、話してる時に」
「え?ううん」
横に並ぶと、すぐに眉毛を下げて謝ってきた近海くんに、ぶんぶんと首を横に振る。すると、すぐに顔を傾けながら、「…珠理、拗ねてたでしょ」と、ニヤリと笑いながらコッソリと呟いた。
それに対して、どう反応すればいいのか正直迷ったけれど、とりあえず「うん」と首を縦に振った。
…うう、なんだか、ものすごく恥ずかしい。
でも、そんなわたしを見て、近海くんは「やっぱりな」と、肩を揺らしている。
そして、一度だけリビングにいる珠理の姿を確認すると、少しだけ声のボリュームを落として、わたしに話した。
「…珠理はね、もう聞いてると思うけど、中学の頃から、めごちゃんのことが好きでさ」
「…」
「俺が思うに、きっと、初恋だったんだろうね。最初は “よくお店に来る子” って感じだったんだけど、高校に入ってめごちゃんをたまたま見つけた時には、顔を真っ赤にしちゃってさ。俺に、“あの子がいたの!” って息を切らしながら言ってきて」
「……入学した、時から…?」
「そうだよ。だって中学の時から、好きだって言ってたからね、めごちゃんのこと」
「…」
…そう、なんだ。やっぱり、会った時からわたしの名前を知っていて、“めご” と、呼んでくれたのは…。夏に、弱っていたわたしを、
助けてくれたのは…。
「アイツと小さい頃から一緒にいる俺から言わせるとね、家がフクザツなぶん…変なところで考えが偏ってたりも、するんだけどさ。でもほんとに、ほんとに、すげーやさしい奴だから」
「うん…」