ヒミツにふれて、ふれさせて。
次々と襲いかかってくる新しい情報に、わたしだけが、まったく付いていけていない。
え……、でも、珠理は…。
“アタシ、オトーサンもオカーサンも、もういないから”
…そう、言っていた。
それを聞いたのは、確かだと思う。だからわたしは、“サユリさん” は、一緒にいないということは、てっきり、もう亡くなっているもんだと…。
勝手に、そう思っていたから。
…腑に落ちなくて、色々と気になってしまっていたけれど…。
でも、珠理の事情をあまり知らなさそうな瀬名と茶々ちゃんに、深く突っ込むことはできない。
近海くんは、おそらく珠理のことは全部知っている。そんな気がする。でも、やっぱりこの2人がいるこの状況で、聞くことなんてできないよ。
「……」
…でも、もし、本当に、“サユリさん” からの電話だったんだとしたら。
どうして珠理は、その電話に出ようとしないんだろう。
「珠理の母親、珠理のことすごく大好きなところがあるからね。でもまぁ、息子からしてみれば、あんなにしょっちゅうかかってくんのは確かにウザいわ」
……!
「え〜〜。そんなもん?でも、あんなに鳴ってんだから、何か急な用事かもしれないじゃん?」
「まぁな。それも有り得る。でもまぁ、もし母親からだったら、珠理が自分でなんとかすると思うよ」
「………」
近海くんが…笑いながら話している。
やっぱり、サユリさんは今でも生きていたんだ。勝手に、この世にいない存在にしてしまっていたことに、反省する。