ヒミツにふれて、ふれさせて。
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…その日は、放課後になっても、リョウちゃんからの連絡はなかった。
あの日、リョウちゃんの家を飛び出してきてから、3日間くらいは連絡がこなかった。
でもそれはリョウちゃんにはよくあることで、いつも気分屋だから、自分の気持ちが乗った時にしか連絡はしてこない。
それはわたしも同じだったし、今までもそういう風に付き合ってきたから、なんの違和感もない。
4日後の久々のメールには、「あの日は言い過ぎた、ごめんね」と書かれていた。
その日の夜に、思い切って電話をしてみたら、少し反省していたのか、落ち込んだリョウちゃんの声が聞けた。
『ごめん、めご。俺、すげー勝手なこと言って傷つけた』
そう言ったリョウちゃんは、少し泣きそうな声を出しながら、『ごめん』と何度も謝ってくれた。
確かに、あの日のことはショックだったし、家に帰ってからもずっと落ち込んでいたけれど、この日、リョウちゃんの声を聞いたら、そんなものもどこかへ飛んで行ってしまった。
それから、ちょくちょく連絡をとってはいたけれど、今日はまだ、何も来ていない。
放課後、目の前のメニューよりも先に、チェックをしていたけれど、わたしのスマホは空っぽだった。
「めご?何食べるか決めた〜〜?」
…そんで、今、空っぽのスマホを隣に置いてスタンバイさせたまま、この人と本当にカフェに来ているわけだけれど。
「…あんまりお腹すいてない。カプチーノだけでいいよ」
「ええっ?!ケーキ食べないの?!」
「食べない。夕飯食べられなくなっちゃう」
「まぁー!」
目の前のオネェ系男子は、キラキラとしたメニューを広げて、どれにしようか1人でルンルンと騒いでいる。
…どうして、わたしがこの人のケーキ食べたい欲に付き合わされなきゃいけないのか。
いや、リョウちゃんから連絡なくて、暇だったからついてきたっていう、わたしの勝手な理由もあるんだけどさ。
だからまぁ、いいけど。