ヒミツにふれて、ふれさせて。


きっと、メイクはもう完全に流れてる。
涙で目は腫れているだろうし、鼻は真っ赤になっているに違いない。


…こんな姿で、今、あなたの目の前にいること。

カッコつかないけど、許してほしい。




「…珠理のヒミツに、触れさせてくれて、ありがとう」




珠理が、勇気を出して話してくれたこと、本当に本当に、嬉しかったんだよ。





「……珠理、だいすき」





—— きっと、今までで一番、ぶさいくな顔をしていたと思う。

赤鼻のトナカイ状態で、こんな、頭もまとまっていない状態で、顔だけは笑って「すき」なんて。


こんな告白をする女の子なんて、わたしくらいじゃないだろうか。

でも、もう、そんなのいいや。





「………えっ?」



…珠理は、しばらく信じられないといった顔で、わたしの方を見つめていた。

眉間にはシワが入っているし、目はおどおどと左右に揺れているし、口は開いているし。

なんだか、おもしろい顔。いつもの綺麗な顔が、台なしだ。


「えっ…?ちょっと待って。めご、今なんて言ったの…?」


ビーズクッションから身体を起こして、わたしの二の腕を掴んで、少し離れたところから必死に問いかけてくる珠理。


…でも、顔、真っ赤だよ。



「…だいすきって、言った」

「えっ?だいすき?アタシが?」

「うん」



…おかしいな。いつもだったら、わたしの方がドキドキしてしまうのに。

今は比較的、わたしは落ち着いている。


目の前の珠理が、真っ赤になって、動揺しているからだろうか。



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