ヒミツにふれて、ふれさせて。
「…ウソ…。本気で言ってるの…?」
するりと、二の腕を掴んでいた手が落ちていく。
力が抜けてしまっているのか、顔も眉毛まで下がっている。
「…本当に、好き?さっきの話を聞いて、同情したんじゃなくて?」
「そんなんじゃないよ。さっきの話を聞かなくても、今日はこの気持ちだけは伝えようって決めてたから」
「……っ」
下にぽとりと落ちた両腕を掴んだ。手首に親指を這わせると、ドクドクと、大きく脈打っているのが分かった。
…いつもは大胆な珠理が、今は力が抜け落ちてしまうくらい、緊張している。
信じられないって、思っているのかな。
「…どんな珠理だっていい。そのままの、珠理がすきだよ」
だったら、全部全部、伝えてあげる。足りないなら、珠理が今までわたしを想っていてくれた分、わたしも少しずつ、伝えていくよ。
「…めご、」
…相変わらず真っ赤になった顔で、下を向いていた珠理の頰に、手を添えてあげようとした。
すると、その腕は珠理の頰に届く前に、その大きな手に捕まえられてしまって。
ギュッと、握られたかと思うと、そのまま引き寄せられてしまう。
「……もう一回、言って。俺のこと、好きだって」
——その言葉に、わたしの心臓も、思い出したように跳ね起きた。
急に、近くでそういうことをつぶやく珠理。この人のスイッチの入りどころは、いつも本当によく分からない。
「…う。さっき、3回も言った…っ」
形勢逆転だ。
そんな低い声で呟かれると、その声を覚えている耳は、ボッと熱く反応してしまう。
「……ダメ。3回じゃ足りない」
「〜〜っ」
…本当に、心臓がいくつあっても、足りないよ。