ヒミツにふれて、ふれさせて。


「…ちゃんと、言えたよ。珠理からも、彼女になってって、言われた…。だから、うんって、言ってきた…」


——恥ずかしい。まじまじと聞かれているこの状態で、自分のことを話すのは、ものすごく恥ずかしい。

顔に熱が上がっていくのを感じながら、ボソボソと話したのに、目の前の2人は「キャ〜!」と、甲高い声で喜んでくれた。

わたしは、もう机の木目しか見れない。



「ねえねえねえ、珠理喜んでたでしょ!?喜んでたでしょ!?」

「ミノくんどんな顔してた?泣いてた?真っ赤になってた!?」

「…わ、かんない…。いっぱいいっぱいだったから、もうなんかあんまり覚えてないよ…」

「「きゃあ〜〜〜!」」



いや、うるせーよ!と、突っ込みたくなる程のはしゃぎよう。でも、わたしにはそんな元気は残っていないよ。もう好きなだけはしゃいでよ。今日はもう1日降伏しよう。決めた。


それでも2人は、笑って「おめでとう、よかったね」と言ってくれた。

それからは、喧嘩していたことが和解したことと、珠理の話を聞いたことを話した。話の内容までは、あまり深く話せないから少しだけ濁した。


「でも、よかったよ。とりあえずミノくんとは元通りだね」

「元通り以上よ!まさかこんなに簡単にオトせるなんてね。さすが珠理だわ」


うんうん、と、茶々ちゃんは長い髪を揺らしていた。
…あれ。今日はツインテールじゃなくて、ポニーテールだ。珍しい。

さっきまで恥ずかしくて、ちゃんと顔を見れなかったから今気付いちゃった。


「茶々ちゃん、ポニーテールも似合うね。かわいい」

「あ、そう? ちょっとイメチェンってやつよ」

「ふうん? どうしてイメチェン? そんな気分だったの?」


会った時から、1日だって変わったことなかったのに。


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