ヒミツにふれて、ふれさせて。
「…ねぇ、珠理って前からこんな感じだったんだっけ。なんか気持ち悪いんだけど…」
「お前今更気づいたの? コイツはめごちゃんのことになると犯罪級に気持ちわりーよ」
「ああ、そう…」
わたしが珠理に捕まっている横で、目を細めてわたしたちの様子を見ている2人。なんだその目。本当やめてほしい。ていうか、助けてよ。
散々わたしを抱きしめた後、少しだけ落ち着いたらしく、珠理は腕を緩めてみんなの方を向いた。今さら「おはよう♡」と瀬名と茶々ちゃんに話しかけている。
そして、相変わらず目を細めて引きつり笑いをしている3人に対して、向き直っていた。
…わたしは、肩に珠理の大きな手のひらが乗っかって、そのまま横に並ばせられる。
…そして。
「えっと、ご報告なんだけど」
「…!」
「アタシたち、付き合うことになりました」
珠理は、わたしの顔のすぐ横に自分の顔を持って来て、にっこりと笑った。そしてすぐに、「えへへ」と、頰に手を当てて照れ笑いをしている。
…彼氏が出来た女子高生の反応だ。
「ほんと、昨日の夜からずっとこんなんなんだよ。めごちゃん、ほんとにコイツでいいわけ?」
「はは…」
よく見ると、近海くんの目の下には、うっすらクマができている。ちょっと理由を聞こうかと思ったけど、やっぱり怖くなってやめた。
ちょっとだけ、本気でそう思ってるんだろうな。かわいそうだけど。
でも、それでもやっぱり。
「…うん、ありがとう近海くん」
わたしは、こうやって喜んでくれている珠理の顔を見て、ホッとしたから。
よかったって、思えたから。
きっと、間違ってはなかったんだと思う。