ヒミツにふれて、ふれさせて。


うわ、見られてる。普段無愛想にしてるのに、思わずハニーブロッサム大好き過ぎて語ってしまった。

恥ずかしさ、2回目。



「…ごめん。忘れて」

「ふふ、なんでよう。そんなに喜んでもらえれば、作った人はきっと、もっともっとシアワセだと思うわ」

「…」


恥ずかしくて、顔に熱がこもる。あまり瀬名以外の人とは関わらなかったから、瀬名以外の人と出かけていることが、まず非日常。

そのうえ、自分の好きなものをこんなに語り尽くして…。なんだこれ、本当に恥ずかしさ極まりない。


「じゃあ、これからアタシ、めごのハニーブロッサムを超えるケーキ屋さん探し、付き合ってあげるわね!」

「え、いいよ…。絶対あそこを超えるケーキ屋なんて、この辺にはないもの」

「えー!分からないじゃない〜〜!」


ぷうっと頰を膨らませて怒る美濃珠理。なんだその女子力最高峰の顔は。少しカワイイのがムカつくんだけど。


「行きましょうよう」と、わたしの袖を引っ張る美濃珠理を無視して、わたしはスマホを開いていた。


…メッセージなし。


まだ、リョウちゃんからの連絡はない。



はぁ、と、思わず出てしまったため息をそったしまって、スマホをかばんの中に投げ入れる。

気を取り直して前を見ると、「お待たせしました〜〜!」と、甲高い店員さんの声が頭の上で響いた。






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