ヒミツにふれて、ふれさせて。
わたしが珠理と付き合うようになってから、まだ2日しか経ってない。それなのに、何件かって…どーいうことなんだ。
珠理からも、一言もそんなこと言われてないし…。今日のことだって。
「…珠理って、モテるんだね」
わたしだけ知らなかった。珠理はきっとわたしに余分な情報を与えないために黙っていたんだろうけど…。
なんだか、またもやっとが募る。
「そうなんだよなあ。あんだけ顔がよくてスペック高かったら、オネェかどうかなんて関係ないんだろーな」
「…いやいや、近海くんだって相当だと思うよ…」
…あ。思わず本音。
「あれ?俺いま、褒められた?」
「…褒めたっていうか。本当のこと言っただけ」
珠理とおんなじくらい、いい人だし。今までなんとなく、かっこいい人はこわいなあって思ってたけど、そんなことないんだって思わせてくれた人。
「はは。今のそれ、珠理が聞いてたら、またヤキモチ妬くんだろーな」
「ありがとう」と言いながら、頭の上にポンっと手を乗っけられる。でも多分、今のポンが見つかった方があのオネェは色々言いそう。
近海くんも、天然ジゴロだよなあ。
「あ、そういえば、まだちゃんと言ってなかったよな」
「うん? なにを?」
「珠理とのこと。おめでとうって、言い忘れてたと思って。それから、あんな奴だけどヨロシクって」
「あー…あはは、ありがとう」
そういえば、そうなのかもしれない。昨日は朝だったしバタバタだったしね。でも、改めて言われるとなんだか恥ずかしいな。
「でもさ、“ あの日 ” に、ちゃんとめごちゃんがアイツの家に駆けつけてくれてよかったよ。ほんとにアイツ、めごちゃんと気まずくなってから大変でさ」
…え?
「…そうだったの?」
「そーだよ。あの日ももうずっと、『めごのこと傷つけちゃった』とか、『嫌われちゃってたらどうしよう』とかさ。とにかくずっとシクシク落ち込んでたの。自分が言ったことなのにさ」
「たまんねーよな」と、笑いながら付け足す近海くん。あの日は、わたしもとにかく必死だったけど…。でも、そうだったんだ。
そうか、だからあの日、近海くんは珠理の家にいたんだ。