ヒミツにふれて、ふれさせて。


「…実はね、今度、クリスマスに珠理の家に行くの。その時に……」

「珠理のお母さんに会う…!?」


とても驚いた様子で、声を被せてきた近海くん。ものすごい勢いで食いつかれた。身体も乗り出している。


「う…うん…。嫌だったらいいって言われたんだけど、わたしが会いたくて…」

「…まじか…。アイツ、今まで付き合ってた人たちをクリスマス店に呼んだことなかったよ。やっぱりめごちん、すげーな」

「あ…あはは…」


何気に今、元カノの話をされた…。しかも、“ 人たち ” って言ったよね…。まぁいいか。聞き流そう。近海くんも悪気なさそうだし。

それに、珠理の方から誘ってくれたんだもんね。


「…珠理、めごちんのこと、そのくらい本気なんだよ」

「うん…」

「まぁでも、何かあった時は、俺に言いなよ。めごちゃん1人で抱え込まないこと」

「はい、了解しました」


近海くんがいることは心強い。珠理のこと、わたしよりもちゃんと知っているから。わたしが抱えきれなくても、きっと一緒に考えてくれる。

わたしの表情を確認するように首をかしげると、にっこりと笑う。

きっと、こんな近海くんだから、今の珠理がいるんだと思う。近海くんと話すと、元気になる。悩んでいたことも、吹き飛ばしてくれる。

珠理が、近海くんのことだいすきな理由も、だんだんと分かってきたよ。





それからしばらく、課題とかクラスのこととか、何気ないことを話していると、息を切らした珠理が戻ってきた。


「…めご…!いた…!」


真冬なのに、ブレザーを脱いで、カーキ色のカーディガンごと腕まくりをしている。いかにも、走り回ってきた後だ。

でも、そんな姿を見るだけで、少しだけ感じていたモヤモヤは小さくなる。


「ごめんなさい、遅くなって〜!待たせてたのね、ごめんねぇ」

「…ううん、おかえりなさい」


胸に押し付けられるように、頭をくしゃっと撫でられると、親指でぷにっと頰を押された。

…ほんとうに、告白をされてたのかな。ちゃんと返事とか、したのかな。


「可愛い。ありがとう待っててくれて」

「うん…」

「ふふふ」


…珠理は、どんなふうに、女の子からの告白を聞くんだろう。


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