ヒミツにふれて、ふれさせて。
「…そう」
本当のことは、言っていない。深刻そうな顔をしているけれど、その奥にもっとヒミツがあるなんて、思ってはいないだろうな。
たたかれても、きらいになれないなんて、他人に言いたくない。
「その人とは、もうずっと付き合ってるの?変なことされてない?つらくないの?」
聞かれたあの電話だけで、ここまで心配してくれているんだもん。たたかれるなんて言ったら、反対されるに決まってる。
「質問多すぎ。質問は1日3問まで!」
「何そのルール!今決める?!」
「だって、色々と聞かれるの、あまり好きじゃない」
リョウちゃんのことをとやかく聞かれるのは、あまり好きじゃない。
…反対されるのは、いやだ。おかしいって思われるのは、いやだ。
だってわたしたちは、何もおかしいことなんてなかったのだから。今までは。
「さっき、ケーキ屋の質問でひとつ目。あとふたつまでね」
「……じゃあ、めごのことを教えて」
「はい?」
リョウちゃんのことを聞かれていたのに、突然の話題変え。いきなりわたしのことを教えてって言われても、驚くだけだし。
意味が分からない美濃珠理の質問に、わたしはひどくおかしな顔をしていたんだろうけど、美濃珠理は何も変わらない表情でわたしを見ていた。