ヒミツにふれて、ふれさせて。
「えー、だって見えちゃったんだから仕方ないじゃん。相変わらずモテるねぇ。彼女さんも大変だねぇ。ねぇ、桜井さん?」
「……」
その女の子が、ひょいと顔を出して、わたしににっこりと笑いかける。
小さい顔。長いサラサラの髪。綺麗な形の爪。長い脚。そして、珠理の腕をギュッと掴んでいる、細くて白い手。
…なんだろう、なんだか、モヤモヤするよ。さっきからわたし、ちょっと変。リョウちゃんにだってこんなこと、感じたことなんかなかったのに。
「…わたしは、別に…」
そうだ。珠理の近くには、こんなに可愛いキラキラした子たちがたくさんいて。同じクラスで何をするにも珠理の姿を見てきているわけだから、好きになってもおかしくない。
こんなに、仲良しなのも、おかしくない。わたしが何か言える立場ではないんだよね。
…でも。
「え〜そうなの? でもちゃんと見とかないと、ミノも男の子なんだから。男の子って色々目移りしちゃうこともあるって言うし〜。ねっ、ミノ」
「…っ」
でもやっぱり、もやもやするものは、もやもやする。スッキリしない。なんだろう、これは。今までにあまり、感じたことのない気持ち。
思わず、珠理の反対側の腕を掴む。
あまり、ここの空間に居たくない。この子たちの話していること、あまり聞きたくない。
珠理のこと、ちゃんと見れなくなる。
それでも、ちゃんと笑わなきゃと思った。わたしがこんなになってたら、きっと珠理も困るって。
…でも。
「これから、アタシがめご以外の女の子に目が行くなんてこと、絶対にないから大丈夫よ」
「——…」
ギュッと目を瞑った瞬間、聞こえてきたのは、こんな言葉。