ヒミツにふれて、ふれさせて。
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珠理と約束していたクリスマスは、案外あっさりとやって来た。
あまりワクワクする暇もなく、準備を万全にするわけでもなく、あっという間にテスト期間が来て、それに追いかけられる日々が過ぎ去って。
そして、ようやく終業式があって、こうやって24日を迎えている。
もう、とうとう冬休み突入だ。
『もうすぐ、長谷駅着くわよ〜』
相変わらず、文章だけだとアッサリした内容のものが、スマホの画面に映し出された。その文字に、焦りを感じる。
「ええ〜…もうそんな時間」
メイクをいつもよりもしっかりとして、ほんの少しだけ伸びて来た髪は、コテで内側に巻いた。昨日切った前髪も、横に流して巻く。
服は、瀬名と茶々ちゃんと一緒に選びに行った。茶々ちゃんが選んでくれた、サーモンピンクのワンピース。それに、お出かけ用に持っていた白のコートを重ねて。
おかしくないかなあ、なんて、姿鏡の前で色々な角度から確認する。前回お出かけした時は、パンプスを履けばよかったって出た時に思ったんだ。だから今回は、ちゃんと可愛いヒールのあるパンプスを履く予定。
バッグの中身も整理した。お財布と、スマホと、ハンカチやティッシュ。最低限のものを入れておく。
クリスマスプレゼントは迷ったけど、昨日クッキーとマフィンを焼いた。それを、近くの雑貨屋さんで見つけたキーケースと一緒に渡す予定。
今回こそは要らないわよって言われたけど、でもどうしても、初めてのクリスマスだから何か残すものがあげたかった。
…本当に、大した値段じゃないし。
綺麗にラッピングしていたそれを、買ってきた可愛い紙袋に入れた。
そして、いつものように桜貝のブレスレットをして、マフラーを巻いていた、その時。
「めご〜?」
…下から、お母さんの声がした。