ヒミツにふれて、ふれさせて。


「わたしのことって、何を教えればいいの」

「それも質問の3つに分けなきゃだめ?」

「当たり前でしょ。あと2つね」


なんだその顔は。また女子顔負けのプンプン顔を見せやがって。


「分かったわ。じゃあ、名前の由来は何?メゴって名前、めずらしいじゃない」


…どんな質問が飛んでくるかと思ったら、思ったよりも普通の質問だったな。てっきり、リョウちゃんあたりの恋話を交えてくるかと思ってたのに。


「わたしの父親が、歴史好きなの。特に戦国時代オタクで。特に伊達政宗が好きらしくって、伊達政宗の正室の愛姫(めごひめ)からとったみたい」

「めごひめ?!アンタ、お姫様の名前をもらったってこと?!」


ステキね〜!と、はしゃぐオネェ野郎。別に構わないけど、わたしはお姫様から名前をいただくなんて、恐れ多すぎてあまり嬉しいって感覚はないんだけれども。

…まぁ、自分の名前をそういう風に言ってくれるのは、素直に嬉しい。


「美濃…くん、は、名前の由来は何なの?」


“くん”を付けて呼んでいいものなのか迷ったけど、美濃珠理とフルネームを呼び捨てで呼ぶのは失礼極まりないと思って必死に喉の奥に押し込んだ。

今までアンタ呼ばわりしてたから、こういう時に、困る。

美濃珠理は、一瞬じっとわたしを見たけど、そのあとは普通に話しはじめた。


「アタシは、名前の由来なんて聞いたことないなあ。オカーサンが付けてくれた名前だってのは分かっているんだけど」

「…ふうん?」


自分の母親のこと、「オカーサン」って呼ぶんだ。意外。ママ〜!とか呼んでそうなのに。




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