ヒミツにふれて、ふれさせて。


なぜかるんるんのお母さんを横目に、ガチャリとドアを開ける。
すると、珠理は本当にわたしの家の前の壁に背中を預けて立っていた。


「…珠理、ごめん、お待たせ」


背の高い、黒いマフラーを巻いたその背中に話しかけると、そのままクルリと振り返る。

…相変わらず美しい顔がこちらを見た瞬間に、パァっと明るい笑顔が咲いた。


「…めご!待ってたわよ」

「…っ」


…やっぱり、そっちのキャラで行くのね。学校でもまるで隠す気配がなかったから、そうかなとはちょっと思ってたけど…。

お母さんは少しビックリしていたけど、すぐにわたしの隣から飛び出してきて。


「わぁ〜!本当にイケメンさんだわ!はじめまして、めごの母です〜!」


…コミュニケーション能力全開で、ぺこぺこしながら珠理の元へ駆けていく。


「あっ、はじめまして〜!美濃珠理と申します。めごさんとお付き合いさせていただいてます♡」

「いや〜っ!ちょっとめご!アンタ、こんなモデルみたいな人と付き合ってるの!?背高いわね〜!何センチ!?」

「今は183センチと少しですね。でもまだ成長期なので伸びますよ」

「へぇ〜〜!すごいわあ〜〜!」


…まぁ、珠理を初めて見たらそーいう反応になりますよね。本当にテレビとか雑誌から飛び出してきたような人となりだもの。仕方ないか…。

でもまさか、このタイミングでこの2人で面会することになるとは思わなかったから…本当にちょっと焦ったよ。


「珠理くん、今度うちにも遊びにいらっしゃい。ご飯食べていきなさい、ご飯!」

「いいですね〜!ぜひお邪魔しますぅ」

「…」


…でもまぁ、焦る必要もなかったのかなあ。



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