ヒミツにふれて、ふれさせて。


珠理があまりにも、普段の珠理のまま話してくれるから、少しだけホッとした。男の子の珠理も本当の珠理だけど、こっちのオネェの珠理だって本物だから。

隠されたら、これからどうしようって思っちゃった。
でも、お母さんもこうやって受け止めてくれているし、大丈夫なのかなあ。


「…あの、お母さん…。珠理ってこの通り…ちょっと女の子らしい部分も入ってるんだけど…」

「あら。お母さんはそんなの気にしないわよ。問題は珠理くんがちゃんとめごのことを幸せにしてくれるかどうかでしょ?」


…お母さん。


「ねぇ、珠理くん。そのあたりはどう?」

「もちろん。アタシのすべてをかけて幸せにするつもりですよ」

「ふふ、それならよかったわ」


…お母さんが、こういう考え方の人でよかったって思う。珠理のこと、曲がった目で見なくてよかったって。まぁ、もともとそんなことするような人じゃないけど。

でも、やっぱり嬉しかった。



「これからは、2人でお出かけ?クリスマスだもんね」

「うん。これから珠理の家に行ってくる」

「分かりました。ちゃんと気をつけて帰って来なさいよ」

「はーい」


にっこりと笑うお母さんに背を向ける。珠理は最後まで、その高い背中を曲げながら、お母さんに頭を下げていた。

ひらひらと手を振ってくれていたお母さんが見えないところまで来ると、珠理はわたしの手をとって、はぁ〜っと息を吐く。

今にも崩れそうなその大きなからだに、少しだけびっくり。


「…え、どうしたの」

さっきまで、あんなににこにこしてたのに。


「…まさか、めごのお母さん出て来ると思わなくて…。緊張…した…」

「ええっ」


緊張…!してたのか…!



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