ヒミツにふれて、ふれさせて。
珠理がわたしのために、ここまでしてくれたこと。
わたしが不安にならないように、家族の前でお願いしてくれたこと。
わたしはきっと、一生忘れない。
「…めご、ごめんね突然。こんな重いこと言っちゃって」
「ううん、そんなことない…」
少しだけ申し訳なさそうに言う珠理に、頭を横に振った。
重いなんて、思わない。だって珠理が、わたしを想ってやってくれたことだから。
今のわたしには、すごくすごく、心強かったよ。
「…めごは、きっと大丈夫よ。1年、珠理くんのこと、ちゃんと待ってる。そうでしょう、めご」
珠理の言葉を受けて、お母さんはやさしくそう言ってくれた。お父さんも、その隣で一度だけうなずく。
わたしも、大きく首を縦に振る。
「それに、1年なんてすぐよ。高校3年生なんて、受験でいっぱいいっぱいなんだから。寂しいなんて想っている暇なんてないわよ」
「…うん…」
…そうだね。
きっと、大丈夫だ。
わたしと珠理は、きっと大丈夫。
それを、ちゃんと見てくれている人たちができた。それだけで十分強くなれる。
「…戻ってきたら、またこうして遊びに来なさい。わたしたちも、待ってるから」
「はい、ありがとうございます」
…しんしんと、寒さが増していく冬の夜。
珠理は、わたしたちから離れることを、決めました。