ヒミツにふれて、ふれさせて。
「…めごは、大丈夫よ。こう見えて、神経は図太い女なんだから」
「……、茶々ちゃん…」
ずっと、近海くんのとなりで黙っていた茶々ちゃんが口を開いた。珠理の話を聞いた瞬間は驚いた顔をしていたけれど、今はもう落ち着いて、いつも通りにお弁当を頬張っている。
「それにめごだって、珠理のことはかなり大好きみたいだからね。浮気の心配もないでしょう。少しスキがありそうな気もするけど」
ぶっきらぼうな態度。でも、茶々ちゃんに言われると、本当に大丈夫な気がするから不思議。
「…はは、大丈夫。浮気なんてしないよ」
「そ。じゃあ何も心配ないじゃない。あとは時間が過ぎるのを待つだけよ」
茶々ちゃんの強気な言葉に、みんなの表情が柔らかくなった。
高校3年生っていう最後の1年を、このメンバーで過ごすことができなくなることはさみしい。もったいない気もするのが正直なところ。
わたしだって最後の1年、珠理と色々なことを経験したかったよ。
同じクラスになることだって、体育祭や文化祭だって、遠足だって。それから、毎日のこんな風にみんなと集まる時間だって。
ひとつひとつを、経験して行きたかった。
…でも、そんな願いを押しころしてでも、珠理が決めたことは、ちゃんと応援していきたいと思ったんだ。
それはきっと、ここにいるみんなが思っていることだと思う。
「まぁ、1年くらいなら待ってやってもいいよ。ちゃんと戻ってくるならな」
近海くんの、少し拗ねてるけど力強い言葉に、みんな笑った。
「大丈夫よう。アタシだって、この空間がだいすきなんだから。必ず戻ってくるわ」
「そうか。じゃあもう、何も心配ねーな」
…そう、もう、何も心配なことなんて、ないんだ。
わたしたちの繋がりは、絶対だから。