ヒミツにふれて、ふれさせて。



その日の放課後、わたしは瀬名と茶々ちゃんに呼ばれた。ここ最近はずっと珠理と一緒に帰っていたから、誘われたのは久しぶりだ。

珠理にそのことを話すと、笑って「たまには、行ってらっしゃい」と言ってくれた。もうすぐ離れるから嫌だって言われるかと思ったのに、違った。むしろ、女の子同士で遊ぶことも大事なんだとすすめられた。


学校を出て、茶々ちゃんオススメのイタリアンのお店に足を運ぶ。可愛らしい内装のお店に3人で座って、メニューを広げた。
わたしはミートドリア、瀬名は季節のパスタ、茶々ちゃんはラザニアを頼んだ。


「たまにさあ、こういう高カロリーなもの食べたくなるよね」

ふふ、と、瀬名が笑う。その気持ちはものすごく分かる。毎日食べてたら太っちゃうけど、友達といる時くらい、いいよね。


しばらくして運ばれてきた、ホクホクのメニューたち。3人で目を輝かせながら、写真を撮る。

あらゆるアプリを駆使しながら、美味しそうなご飯の写真を撮るのは、今わたしたちの間でも流行っていた。女の子で集まるのって、本当に楽しい。



「今日は特に冷えるからね〜。こーいう日は温かい食べ物に限るね」

写真を撮るのに満足した瀬名が、パスタをフォークにクルクルと巻きながら笑った。


「そうそう。寒いってだけで体力奪われるんだから。たまにはこーいう贅沢も必要よ」


そう言いながら、茶々ちゃんもオシャレに盛り付けられたラザニアにナイフを入れていた。

わたしも、2人の会話を聞きながら、ミートドリアを口に運ぶ。
…おいしい。少し焦げたチーズが、身体をほっとさせてくれる。



「めご、おいしい?」

「…え?」


ふたくち目を口に運んだ時に、瀬名が首を傾げながら聞いてきた。その横に座っていた茶々ちゃんも、もぐもぐと口を動かすわたしの方をじっと見ている。


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