ヒミツにふれて、ふれさせて。


わたしが、笑うこと———。


「…珠理は、あんたが笑ってれば幸せなの。あんたが笑ってれば、安心できるの。あんたが笑ってる場所が、珠理の帰ってくる場所なのよ」


…珠理。


「だから、大丈夫。珠理の気持ちはあんたが思ってるより強いから。大きいから。絶対こわれないから」

「…っ、う」


「あんたが笑ってれば、あんたたちは壊れないの。あんたが珠理のことを忘れなければ、珠理の気持ちは絶対に壊れない。絶対に。あたしが約束するから」



…再び、目の前が歪んでいく。

茶々ちゃんの力強い言葉に、わたしは今までどれほど救われてきたんだろう。茶々ちゃんが大丈夫と言うと、本当に道が照らされるように感じるから不思議だ。


「ねぇ、めご。今はまだ先が見えなくて、ゴールが見えなくて、さみしいかもしれない。不安になるかもしれない。でもね、わたしも茶々ちゃんもそばにいるから。近海くんだって、いるから」


茶々ちゃんの言葉に、さらに瀬名が優しく包んでくれる。そのやさしい声にだって、わたしは何度も救われてきた。



「めごだけじゃないから。みんなで一緒に、ミノくんの帰りを、待とうね」



…“ みんなで、一緒に ”


そう言って握ってくれた2人の手のひらの体温を、わたしは忘れない。
やさしい温度。大丈夫だよって、伝わってくる。



そうなんだ。

わたしは、大丈夫なんだ。

わたしは、1人じゃないんだ。みんなが一緒に待っててくれるんだ。



それなら、何も怖くない。




「うん、うん。ありがとう、ありがとう2人とも…」




わたしは、しあわせ者だ。

わたしのために、さみしさも楽しみも共有してくれる心強い仲間が、こんなにもたくさんいる。



一緒に闘ってくれる仲間が、こんなにも、近くにいるのだから。






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