ヒミツにふれて、ふれさせて。
自分でも、リョウちゃんにはベタ惚れだと自覚している。
だって本当にかっこいいし、優しいし、面倒見が良くて、自分の決めたこととか好きなことにはまっすぐで。
だから、リョウちゃんは絶対浮気なんかしない。サッカーのことも、わたしのこともそうだけど、好きなものに対してかけるエネルギーは大したものだ。
「リョウちゃん、今日は何かあったの?」
『ん?なんで?』
「なんか、いつもより声が弾んでるから」
わたしがそう言うと、リョウちゃんは少し戸惑いながら、長いため息をついた。
リョウちゃんのため息は、たまに怖いことがあるから、少しドキッとしてしまったけれど、今回は少し様子が違う。
『…え、ほんとに分かんない?』
「え…?うん…?」
なんだろう、何が分かんない?ってことなのかも、分かんない。リョウちゃんの誕生日…ってわけでもないし。むしろ、そんな日だったら、わたしは覚えているし。
………って。
「…あ!!!分かった!!!」
頭の中で数字を思い浮かべて、色々な数字を組み合わせてようやく気づくことができた。
…今日は、わたしたちの3年5ヶ月記念日だった。
「ごめんリョウちゃん。分かったよ」
『珍しいじゃん、忘れるなんて。日付感覚ズレてた?』
「あはは、そうかもしれない」
でも、嬉しい。リョウちゃんが覚えてくれていることが嬉しい。