ヒミツにふれて、ふれさせて。
「…近海は、いつもそうやってはぐらかすけど、でも、近海のそーいうところに、アタシは救われてきたから」
「……そーかよ」
「…“ あの時 ”、アタシを見つけてくれてありがとう。友達だって言ってくれてありがとう。アタシがいくら変わってしまっても、近海は何ひとつ変わらないでいたの。それに、アタシは何度も何度も救われてきたのよ」
「……っ」
——きっと、今のふたりの気持ちは、ふたりにしか分からない。
ここにいる誰よりも、ずっとそばにいた2人だから。
「…でもね近海。近海はね、アタシのいちばんの親友よ。それだけは絶対、変わらない」
「……うるせぇ、クソオネェ」
近海くんが、手のひらを握りしめて目元を拭いた。それを珠理は、さみしそうに笑いながら見ていて。
「あっ、でも。めごのこと好きになったりしたら、分からないから…!お願いだから、それだけはやめてね!?」
「俺、お前のこといつか本気でぶん殴りそう…」
最後は、いつもの通り、ふたりで笑いあった。
「めごのこと、よろしくね。それから、瀬名ちゃんと茶々のことも。アタシの大事な仲間を託せるのは、近海しかいないんだから」
「へーへー、分かったよ」
少しだけ目を赤くした近海くんは、近づいていた珠理の胸をバシッと叩いた。
そして、その手をもう一度握って、グッと珠理の身体に押し付ける。
「…その代わり、一年契約だからな。必ず帰って来いよ」
ニカッと笑った顔は、まるで、太陽みたい。
「ふふ、りょーかい」
そんなふたりは、さっきと同じように、お互いの手を握り合った。