ヒミツにふれて、ふれさせて。


…ずるい。ずるいよ。


珠理はいつも、ずるい。



「めごのこと、世界一かわいいの。だいすき」

「……っも、なんかいも、聞いた…っ」

「だって言いたくなるんだもの。向こうに行っても、何度だって言うわよ。覚悟しててね」



ぎゅっと、しまっていく身体。

温かい熱に、包まれていく。

珠理のにおいが、広がって、またひとつ、涙が溢れてきた。






「—— 俺の気持ち、忘れんなよ」




…みんなに、聞こえないように。

そっと、耳元で呟かれる。


その言葉は、甘く溶けて、わたしの心に、やさしく沁みわたっていった。




「…それで、さっきの質問への返事は?」

「…ばか。指にはめたのは、あんたのくせに…」

「めごの言葉で、聴きたいの」

「…っ」




ねぇ、珠理。

いつだって珠理は、こうやってわたしのことを大切に大切にしてくれてたね。


恥ずかしいことも、素直になれないことも、たくさんたくさんあったけど。


でも、何度だって言うよ。


わたしは、珠理だから、最後はいつも笑っていられるんだ。


どんなに離れても、どんなに会えなくても、



きっとこれからも、変わらない。






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