ヒミツにふれて、ふれさせて。


泣きそうになりながらも、近海くんの言う通りに勉強を進めていく茶々ちゃんを、みんなで見守っていく。

…それが、時々集まった時の、わたしたちの日常になっていた。



「…時間が経つのは早いね。大学に入学したばっかだと思ってたのに、もう夏休みか」

「まぁ、夏休みに入る前にわたしはレポートがありますけどね」

「ふふ、めごのとこはね。大変だよね、同情するよ」


瀬名とは、大学が一緒でも学部が違う。

だから、たまに会えても、高校の時みたいにずっと一緒にいるわけじゃない。

でも、いいんだ。こうやって、連絡を取りあえば、ちゃんと集まれる。こうやって、みんなと楽しく過ごすことができる。



「…それで?髪型はどうするの?明日、予約したんでしょ?」

「…うん。だって、もうすぐ約束の日だし、ちゃんと、綺麗にしなきゃって…思って…」



たくさん並んでいる、綺麗なモデルさんたちを見ながら、自分に合う髪型を探す。

高校3年生から伸ばし始めて、大学に入る前に初めてパーマをかけた。

今も、頑張れば出てくれるけど、やっぱり、会う前にはしっかりと綺麗に整えておきたいのが乙女心というやつで。


「ははは。めごがここまで乙女になるなんて〜っ。そうだね、ずっと待ってたんだもんね」

「…うるさい」

「いいじゃんいいじゃん。わたしだって楽しみだもん。約束の日、いつだったっけ?」

「…1週間後」



…そう、1週間後。






—— 1週間後に、珠理は、日本に帰ってくる。






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