ヒミツにふれて、ふれさせて。
そんなことを考えながら、物思いにふけっていると、後ろに座っていた茶々ちゃんがついに騒ぎ出した。
「あ〜〜っ!暑い!もういやだ!勉強勉強ばっかで頭が煮え返りそうだわ!」
ダン!と、座っていたテーブルを叩いて、広げていた参考書を畳む。
…ここのところ、ずっと長いこと赤本と睨めっこしてたもんね。疲れちゃったよね。
「おいお前。ここファミレスなんだぞ、静かにしろよ」
「うるっさいわね!!あんたも携帯ばっかいじってんじゃないわよ!!こんなに頑張ってるわたしには水しか与えてこないくせに!!」
「お前どうせ暖かいココアとか飲むんだろ?そんなん飲んだら寝ちゃうだろーが」
もうストレス爆発寸前の茶々ちゃんを、淡々と手の上で転がしている近海くん。
でも確かに、目の前でずっと携帯いじってたら怒りたくもなりますよ。ゲームやってるのか知らないけどさ。
「もう無理〜!甘いもの飲みたい〜!めご、持ってきて!!」
「ええ〜!?」
そんな険しい顔で命令されても。
別にいいけど、今ちょうどお昼どきだからか、ドリンクバーのところ人がたくさん並んでるし…。しかも入り口付近だから、角にあるこの席からは遠いし…。
わたしが頼んだレモネードも、まだ入ってるし…。
「茶々ちゃんが好きなのとってくれば…」
「あ〜ダメダメめごちゃん。こいつ、席立つとすぐサボりたがるんだよ。だからごめん、今回だけは取ってきてやってよ」
「ええ〜〜…」
じゃあ近海くんが持ってきてあげればいいんじゃないでしょうか!!
…なーんて、少しそう思ったけど、まぁ暇なのも事実だしね。
「分かりましたよ、行ってきます」
「ありがとうめご〜っ、あんたのおかげで生き返るわ〜っ」
「…調子いいね」
ふぅ、と、ため息をついて、「がんばれ」と声をかける瀬名に苦笑を漏らしながらドリンクバーコーナーへと歩いて行った。