ヒミツにふれて、ふれさせて。
「…びっ…くりした。危うく、後ろに倒れるところだったわ」
「——……」
…トン、と、背中が何かに当たる感覚がする。
「………」
聞き間違いかな?と、思った。
聞いたことある声が、後ろから聞こえたから。
だって、ううん。そんなわけない。
だって、1週間後って聞いたもの。
次の日曜日に帰ってくるって、言ってたもの。
それに、背中を受け止めてくれたそれは、薄い生地で、ほんの少しだけ汗に濡れている。
今まで、あまり感じたことがない感触。
「————っ?」
ううん、やっぱり、そんなわけない。
…だって、知らないもの。
わたしは、知らないんだもの。
「…アタシの可愛いめごがケガなんかしたら、どーするつもりだったのかしら」
「………!」
わたしは、この人と、あまり夏を経験したことがないから。
全然、
分からないんだもの。
「——ねぇ、めご。大丈夫だった?」
「——————…!」
…どうして。
どうしてこの人は、今ここに、こんなところにいるの…?