ヒミツにふれて、ふれさせて。




「…びっ…くりした。危うく、後ろに倒れるところだったわ」

「——……」



…トン、と、背中が何かに当たる感覚がする。


「………」



聞き間違いかな?と、思った。

聞いたことある声が、後ろから聞こえたから。

だって、ううん。そんなわけない。

だって、1週間後って聞いたもの。
次の日曜日に帰ってくるって、言ってたもの。


それに、背中を受け止めてくれたそれは、薄い生地で、ほんの少しだけ汗に濡れている。



今まで、あまり感じたことがない感触。




「————っ?」




ううん、やっぱり、そんなわけない。



…だって、知らないもの。


わたしは、知らないんだもの。





「…アタシの可愛いめごがケガなんかしたら、どーするつもりだったのかしら」


「………!」




わたしは、この人と、あまり夏を経験したことがないから。





全然、


分からないんだもの。






「——ねぇ、めご。大丈夫だった?」


「——————…!」




…どうして。


どうしてこの人は、今ここに、こんなところにいるの…?







< 395 / 400 >

この作品をシェア

pagetop