ヒミツにふれて、ふれさせて。
「…めご、」
「…!」
ぶらりと垂れていた手のひらを珠理に掴まえられて。
「…隙あり」
もう一度、くちびるが重なった。
「…っ、ちょっと!!」
「いーじゃない。触れたくなったの。ほら、誰も見てないわよ」
「そーいう問題じゃない!!」
…まったく。
このオネェ、やっぱり、どれだけ時間が経っても危険人物。
油断も隙もあったもんじゃない。
「…」
だけど、この人がいるだけでこんなにも、わたしはしあわせだと感じることができるんだ。
「めごはアタシのこと、好きじゃないの?」
…ほらね。
こーいうところも、どうしても嫌いになれないんだよ。
そんなこと思うわたしも、まだまだ甘いのかもしれない。
「…好きに、決まってんでしょ」
…わたしだって。
いつだって、
珠理の心に、触れていたいって、思っているんだから。
「うん、知ってる。アタシも、めごのことがだいすきよ」
「…それも知ってる」
…まったく、困ったものだなあと、自分でも感じてるよ。
「めご、今日のパーティーでは何が食べたい?めごのために自慢の腕を振るうわよ!」
「本当に!?じゃあ、あのレアチーズケーキ!」
「りょーかい♡」
本当に、甘ったるい。
心臓が、いくつあっても足りない。
色々な顔を持っているこの人のことが、わたしは心からだいすきになった。
そしてきっと、これからも、
熱烈にわたしの名前を呼んでくれるこの人のことが、
わたしは、とてつもなく、愛おしいのだ。
〜ヒミツにふれて、ふれさせて。〜
【おわり】