ヒミツにふれて、ふれさせて。


「っは、ありがとう。助かった。待たせてごめんな」

「ううん、大丈夫だよ」


久しぶりのリョウちゃんに、胸が弾んだ。2週間近く、会ってなかった。ずっと会いたいなって思ってた。だから嬉しい。

昔からオシャレなリョウちゃんは、今日もかっこいい。思わず、袖を掴んでしまった。


「…めご?どうした」

「…リョウちゃん、会いたかった」

「…」


前回会ったのは、あの日。わたしがお腹が痛くて倒れそうになっていた時だ。
あの時は、リョウちゃんもひどく機嫌が悪くて色々あったけれど、今はもうそんなのどうでもいい。


「…めご、こっち」


甘い声で名前を読んで、ものの陰に隠れるリョウちゃん。じっとリョウちゃんの方を向いていたら、そのままキスが落ちて来た。

チュ、と触れるくちびるも、添えられた手も、すべてが優しかった。乱暴なリョウちゃんは、今日はいない。


「…俺も会いたかった。んじゃ、行くか」

「うん…!」


今日は記念日。リョウちゃんから好きって言われた、気持ちが通じ合った大切な記念日。

初めて男の人と江ノ島に行った。当時は今よりもお金がなくて、そもそもデートなんてしたこともない2人だったから、デートというより、お散歩って感じだったけどね。


「江ノ電で行くでしょ?何分に電車あるかな」

「36分にある。それに乗ってくか」

「うん、了解」


手を繋いで、江ノ島電鉄に乗って、江ノ島駅を目指した。

今日は、楽しい1日になりますように。



< 45 / 400 >

この作品をシェア

pagetop