ヒミツにふれて、ふれさせて。
「っは、ありがとう。助かった。待たせてごめんな」
「ううん、大丈夫だよ」
久しぶりのリョウちゃんに、胸が弾んだ。2週間近く、会ってなかった。ずっと会いたいなって思ってた。だから嬉しい。
昔からオシャレなリョウちゃんは、今日もかっこいい。思わず、袖を掴んでしまった。
「…めご?どうした」
「…リョウちゃん、会いたかった」
「…」
前回会ったのは、あの日。わたしがお腹が痛くて倒れそうになっていた時だ。
あの時は、リョウちゃんもひどく機嫌が悪くて色々あったけれど、今はもうそんなのどうでもいい。
「…めご、こっち」
甘い声で名前を読んで、ものの陰に隠れるリョウちゃん。じっとリョウちゃんの方を向いていたら、そのままキスが落ちて来た。
チュ、と触れるくちびるも、添えられた手も、すべてが優しかった。乱暴なリョウちゃんは、今日はいない。
「…俺も会いたかった。んじゃ、行くか」
「うん…!」
今日は記念日。リョウちゃんから好きって言われた、気持ちが通じ合った大切な記念日。
初めて男の人と江ノ島に行った。当時は今よりもお金がなくて、そもそもデートなんてしたこともない2人だったから、デートというより、お散歩って感じだったけどね。
「江ノ電で行くでしょ?何分に電車あるかな」
「36分にある。それに乗ってくか」
「うん、了解」
手を繋いで、江ノ島電鉄に乗って、江ノ島駅を目指した。
今日は、楽しい1日になりますように。