ヒミツにふれて、ふれさせて。


「わ〜!やっぱりもう、海は少し寒いねぇ」


江ノ島駅に着いて、そのまま弁天橋を渡って、仲見世通りに向かった。

ざぶんと波打つ湘南の海。まだ、マリンスポーツを楽しんでいる人、バイクツーリングを楽しんでいる人、色んな人がいて、夏はまだ終わってないんだと思わされる。

だけど、やっぱり風は真夏よりも涼しくて、心地よかった。


「海、行かねーの?」

「えっ、行きたい。だけど、夕暮れ時に行きたくて。それまでは仲見世通り回ろうよ。しらすアイスも食べたい」

「はは、好きだな、しらすアイス」


初めてのデートの時も、リョウちゃんとしらすアイスを食べた。

地元からわりかし近いのに、あまり江ノ島というところに来なくて、メディアにも取り上げられていたしらすアイスを食べたことがなかったわたしたちは、その日はじめてしらすアイスを食べたんだ。

思ったよりもしらすの味がして、2人で驚いて顔を見合わせたのを覚えている。


「俺、久しぶりにたこせん食べたい。買ってっていい?」

「うん、いいよ。わたしも食べる!クラゲがいいな」


それから、江ノ島名物のたこせんを買いに並んで、みたらし団子も食べて、そのまま江ノ島の頂上を目指すことになった。


「え、階段のぼんの?エスカー使わないわけ?」

「何言ってるの〜!歩いて行こうよう、お金もったいない」

「ええ…」


江ノ島で有名なシーキャンドルがある頂上までは、階段をひたすら登らなきゃいけない。


結構時間がかかるってことで、「エスカー」という、有料のエスカレーターができたのだけれど、リョウちゃんはどうやらそれに乗って頂上まで行きたいらしい。



< 46 / 400 >

この作品をシェア

pagetop