ヒミツにふれて、ふれさせて。
「エスカーなんて乗ってたらデートっぽくないよ〜」
「めご…、意外と体力あるよな…」
メンドくさいと乗り気じゃないリョウちゃんを引っ張って、わたしはエスカーではなく自分たちの力で階段を登る方を選択した。
そのままなんとか歩いて、恋愛の神様で有名な辺津宮、中津宮を通って江ノ島シーキャンドルまで登った。
その頃には、わたしもリョウちゃんもヘトヘトだったけれど、シーキャンドルから見える景色は最高で、気持ちよくて、2人で興奮しながら眺めを見ていた。
「いつ見ても、開放的でいいな」
「超気持ちいいね」
周りは、観光客とカップルだらけ。みんな、江ノ島に来たらこのシーキャンドルからの眺めをって思っているのか、ここは人気スポットだ。
「…めご、人が来てる」
「…っ」
ぐい、と抱き寄せられる腰に、どきっと心臓が震えて。あぁ、わたしはまだリョウちゃんのことがどうしようもなく好きなのだと実感してしまう。
「…ありがとう…」
「ん」
いつもは優しいリョウちゃん。これだから、離れられないでいるんだ。
こっちが、ホントウのリョウちゃんだから。
「こっからはどうする?どこか行きたいところは?」
「岩屋に行きたい。もうちょっと奥に行くけど、平気?」
「ん、めごの好きにしろよ」
こんなに、一緒に嬉しくなる人は、リョウちゃんだけだよ。