ヒミツにふれて、ふれさせて。



そこからは、「江ノ島岩屋」と言われる洞窟を目指して歩いて、その見学に行った。とても神秘的で、何度かリョウちゃんとも一緒に行ったことがある。

暗くて、しめっていて、少し怖いけれど、それでも綺麗な景色がたくさんあるからお気に入り。

度々見える海の迫力がすごくて、思わず何度も写真をとってしまった。


「すごいなあ、海。吸い込まれそう」

「お前、夕暮れが見たいって言ってなかった?まだ3時なんだけど」

「ここじゃないよう。あとでしらすアイス買って、砂浜で食べながら見るの」

「ふーん」


…今日のリョウちゃんが、「ふつう」でよかった。いつにも増して、機嫌が良い優しいリョウちゃんでよかった。

でも、こんな風に、普段通りのリョウちゃんでいることを喜ばしく思うようになってしまった自分もまた、最低だと思うんだ。

リョウちゃんは、リョウちゃんなのに。




「んじゃ、そろそろ下に降りそうぜ。また時間かかっちゃうんだから」

「あっ、うん、そうだね」


わたしたちは、夕暮れに間に合うように、岩屋を後にして来た道を帰った。

帰りに計画通りしらすアイスを買って、そのまま仲見世通りを抜けて、砂浜を目指す。

バイクツーリングに来ているライダーたちが、何人も集まって、バイクがずらりと並んでいる道を通って。

そのまま、砂浜に足を踏み入れた。


「いつ来てもバイクの数すげーな」

「ね。走ってると気持ちいいのかもね。弁天橋とか」

「うるさくてしゃーない。かっこいいけど」

「あははっ」


しらすアイスを片手に、座れそうな綺麗な場所を目指して歩く。まだまだ水着を来て遊びに来ているような勇者もいるけれど、わたしたちにはそんな勇気はない。


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