ヒミツにふれて、ふれさせて。


おばちゃんかと思ったら、なんだ、男性か。ゴツゴツしてて、でも色は白くて。

でも、だからこそ、こういうことで弱っているのを、あまり見せたくないというのも事実で。


「…あ、大丈夫です…。平気です…」


思わず、下を見たまま俯く。というか、ホントウのことを言うと、この体勢から動けなかった。


「何が平気よ。顔真っ青じゃない。気分悪いの?」

「…いえ、お腹が、ちょっと…」

「お腹ー?それなのにアイスを食べるのね」

「…」


ふふ、と目の前で笑われた。
…いや、てか、目の前にいるのって、確かに男性よね。ゴツい足。声も低いし。

でも、なんだろう、この違和感は。
なんだか、この声の低さとか柔らかさとか、ものすごく、耳に馴染んでいる気がする。

…気のせいか?


「ホラ、タオル。家はどこなの?送っていくわよ。それとも店員さん呼ぶ?」


…顔に添えられた手も、なんだか大きい。


「…いえ、大丈夫です。歩いて5分くらいのところなんで」

「わかったわ。じゃあそこまで送ってあげる」

「…………」


…それにしても、なんでこんな、話し方をするのだろう。



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