ヒミツにふれて、ふれさせて。
「あんた、珠理のことどう思ってるわけ?」
「…へ?」
「どう思ってんのよ!好きなの?!まさか付き合ってるとかじゃないわよね?!」
思考が色々と追いつかないうちに、目の前の美少女は踏ん反り返って、眉毛を釣り上げてそんなことを聞いて来た。
…わたしが、珠理を好き…?
なんでそんなことになっているのかまるで分からないけれど、そう映っているのは確かなのかもしれない。
あいつ、見た目は男だし。
「好きでもないし、付き合ってもないですけど。珠理は…強いていうなら友達だよ」
「…っ」
友達…か、どうかも怪しいけれど、少なくともあいつは友達だと言っていたし、わたしももう、それでいいんじゃないかと諦めている。
だから、もう、それでいいかな。とか思ったりもしているわけで。
でも、それ以上の気持ちもそれ以下の気持ちも、奴にもわたしにもないわけで。
…なんで、こんな面倒臭いことになっているのかが、よく分からない。
「…珠理はね、ずっと茶々のものなんだからね!好きになったりしたら、許さないんだから!」
「…え…?ちゃ…?」
ビシッ!と、人差し指を目の前に突き出されて、目の前の美少女はどこかへ行ってしまった。
…すごかったな、朝から。なんなんだろう、あの美少女は。びっくりだ。
「あ〜、めごちゃん、大丈夫だった?」
「…!近海くん」
美少女の後ろ姿を思わず見つめてしまっていたところに、いつもの声が。
振り返ると、そこには少し息が上がった近海くんの姿があった。